スタバとの馴れ初めがスマホの解体だった話

 タイトルを見て意味が分からないという人がほとんどだろう。分からなくて良いのである。自分でもよく分からない。しかし、タイトルの通り、自分が初めてスタバに行った時の目的は確かにスマホを分解する為だったのである。そしてこれが奇妙なことに私とスタバとの馴れ初めということになった。

 少し、背景事情を解説しよう。高校2年になって暫くした頃、私の使っていたiPhone5sは利用開始から2年程が過ぎ、バッテリーの消耗が激しく、最早交換も止む無しという状況にあった。ただ、何となく初めてのスマホである5sに愛着もあり、買い換えるのも何となく抵抗があったのでバッテリーを交換することにしたのだが、当てがない。そこで、その手のガジェットに詳しいオタクの友人に頼んで交換してもらうことにしたのだ。そして、その友人が交換するに当たって指定してきた場所が埼玉県の某駅にあるスタバだったのである。

 そして、指定された日の放課後、コンビニでガムテープと新聞を購入し、その友人と共に私は華々しいスタバデビューを果たした。いや、華々しいかどうかは少し怪しい。というのも、まともに飲みたい物もなく、注文方法もよく分からずで、店員さんに一から丁寧に教えてもらい非常に恥をかいた記憶があるからだ。結局アイスティーを買ったような気がするが、その狼狽ぶり、とんでもない店に来てしまったと慄いたものである。その後、ガムシロを4つくらいぶち込んだアイスティーを飲みつつ、自分のスマホがドライバーやら何やらを使いながら友人が分解していく様を眺めたり、手伝ったり、コンビニで買った毎日新聞を眺めたりしながら初スタバを満喫(?)したのだった。なお、無事修理は成功し、私の5sはその後数ヶ月間は命脈を保った。しかし、スタバに対する印象は全く良くなかった。もう来ることもあるまいとまで思っていたのである。 

 ところが、その後、季節もスマホも変わり、学年も変わり、何があったのかは知らないがちょっとしたオタク特有のイキリ心からコーヒーを飲むようになり、その影響で結局私はスタバに足を踏み入れるようになった。朝早い電車に乗って駅のスタバで朝ごはんを食べたり、放課後に勉強や読書をしたり、後輩にフラペチーノを奢ったり、卒業式が終わった後、ふらっとスタバに足を運び、高校生として最後の時間を過ごしたりもした。そして、大学生になった今でも、暇つぶしや、特急に乗る時の持ち物としてスタバのコーヒーを欠かさないなど、付き合いが続いている。

 しかし、何というか、当時ガムシロを大量に投入したアイスティーを飲む、スタバでスマホを解体する、スタバで新聞を読むなどと言った意味不明な発想を思いついた頭は、それこそ、スタバの新作を開発出来るくらい柔軟だったのではなかろうか。もし、当時の私がスタバの新作を開発出来ていたら、おそらくオタクが経済を回したとして世界中の経済学者の度肝を抜いたことであろう。ただ、そんなことはなかった以上、世の中にある真理は、私の頭がフラペチーノであることと、ニューヨークチーズケーキが美味しいと言うことである。大体これを知っていれば世の中は生きていけるはずだ。と、マックのJKは言いました。(拍手喝采)